CNC加工部品の傷跡は品質を低下させ、コストを増大させます。完璧な表面仕上げを実現する秘訣は何でしょうか?
CNC加工部品の傷跡を防ぐには、工具管理、材料選択、加工パラメータ、搬送方法の最適化が必要です。鋭利な工具を使用し、適切な切削条件を設定することで、表面品質を大幅に向上させられます。

当社では10年間、日本企業向けに高精度部品を製造してきました。この経験から培った傷跡防止のノウハウを3つの観点から解説します。
CNC加工における変形とは?
加工後の部品が歪んでしまうと、表面にひずみ跡が残り、重大な品質問題に発展します。
CNC加工での変形は、残留応力、熱影響、不適切な保持力が原因で発生します。特に薄肉部品や長尺物では0.05mmの歪みでも機能不良の原因となります。

変形の3大原因と対策
1. 材料の残留応力
- 熱処理不十分な素材は加工中に変形しやすい
- 対策:
- 加工前に応力除去焼鈍を実施
- 材料の縦方向と横方向の硬さを確認
加工部品の変形を引き起こす残留応力は、主に3つの要因で発生します:
1.1 鋳造・鍛造時の応力
- 鋳造後の冷却速度のムラ
- 鍛造時の成形方向による繊維流れの偏り
- 具体例:アルミダイカストでは表面と中心部で最大15%の硬度差が発生
1.2 熱処理不足
- 焼入れ時の冷却速度が遅い場合
- 焼戻し温度が適切でない場合
- データ:SUS304では600℃以下での焼鈍では応力が30%しか除去されない
1.3 機械加工による新たな応力
- 荒加工時の強い切削抵抗
- 工具摩耗による加工硬化
当社推奨の応力除去プロセス
| 材料種類 | 熱処理条件 | 保持時間 | 冷却方法 |
|---|---|---|---|
| アルミ合金 | 300-400℃ | 2時間/25mm | 炉冷 |
| 炭素鋼 | 600-650℃ | 1.5時間/25mm | 空冷 |
| ステンレス | 850-900℃ | 2時間/25mm | 水冷 |
実際の検証データ:
- A5052アルミ板材(t=30mm)の場合
- 未処理:平坦度0.15mm/m
- 350℃×2h処理後:平坦度0.03mm/m(80%改善)
硬度検査のポイント
-
検査位置:
- 材料端部から10%以上の位置
- 厚み方向は表面・中間・裏面の3点
-
許容差:
- アルミ合金:±5HB
- 炭素鋼:±10HB
- ステンレス:±8HB
事例:某自動車部品メーカー様向けアルミフレーム加工では、ロット毎に硬度検査を実施し、±3HB以内の均一性を確保することで、加工後の平坦度を0.02mm以下に維持しています。
【重要】材料証明書だけに頼らず、実際に加工する素材の検査が不可欠です。特に中国産材料の場合、ロット間差が大きい傾向があるため、必ず入荷検査を実施してください。
2. 切削熱による影響
- 特にアルミニウム合金は熱膨張係数が大きい
- 対策:
- 油性冷却液よりも水溶性タイプが効果的
- 切削速度を10-15%低減
3. チャッキング不備
- 不均一な締め付け力が歪みを誘発
- 対策:
- マグネットチャックよりも専用ジグを推奨
- 締め付けトルクを部品ごとに計測管理
| 変形タイプ | 許容値(mm) | 検出方法 |
|---|---|---|
| 曲げ変形 | 0.03以下 | 光学式測定機 |
| ねじれ変形 | 0.02以下 | 3Dスキャナー |
| 平面度不良 | 0.05以下 | 定盤検査 |
日本の自動車部品メーカー様向けに、アルミフレーム加工で0.01mm以下の変形管理を実現した事例があります。
加工工程で発生する目視不良とは?
検査員が最初に確認するのは表面状態です。微細な傷でも顧客クレームの原因に。
加工不良には工具痕、擦り傷、仕上げムラなどがあり、工具の切れ味低下や搬送時の不注意が主な原因です。適切な予防措置で90%以上の不良を低減可能です。

不良種類別対策マニュアル
工具痕(Tool Mark)
- 原因:
- 消耗したエンドミル
- 不適切な送り速度
- 改善策:
- 超硬工具の寿命を50時間に設定交換
- 表面粗さ計で毎ロット検査
擦り傷(Scratch)
- 原因:
- 部品同士の接触
- 汚れた作業治具
- 改善策:
- ESD対応プラスチックケース導入
- 作業台にシリコーンマット敷設
色むら(Discoloration)
- 特にステンレス鋼で発生
- 対策:
- 切削油のpH値を8.5-9.0に調整
- 加工後の超音波洗浄を標準化
日本向け品質基準(サンプル)
| 不良項目 | 許容基準 | 検査方法 |
|---|---|---|
| 工具痕 | Ra0.8μm以下 | 表面粗さ計 |
| 擦り傷 | 深さ0.01mm以下 | 拡大鏡検査 |
| 変色 | 色差ΔE1.0以下 | 色彩色差計 |
精密医療機器部品の生産では、これらの基準を満たすためにクリーンルーム環境での加工を実施しています。
生産プロセス全体での部品保護方法
実は加工中よりも搬送時・保管時に傷がつくケースが85%以上を占めます。
工程間の部品保護には専用容器、防塵カバー、取扱い規程の整備が必須です。特に価値の高い精密部品には多層式保護システムが効果的です。

段階別保護ソリューション
1. 加工→洗浄工程
- リスク要因:
- 切粉の付着
- コンベアでの衝突
- 対策:
- 真空吸引式コンベアの採用
- 樹脂製ケース(PP素材)を使用
2. 検査→梱包工程
- リスク要因:
- 指紋の付着
- 静電気による塵埃
- 対策:
- 導電性グローブの着用義務化
- イオン化ブロワー設置
3. 出荷→顧客受入
- リスク要因:
- 輸送振動
- 温度変化
- 対策:
- 衝撃センサー付き梱包箱
- シリカゲル入りの密閉包装
コスト対効果データ
| 対策内容 | 追加コスト/部品 | 不良低減率 |
|---|---|---|
| 真空コンベア | ¥3.5 | 55% |
| 導電性グローブ | ¥1.2 | 30% |
| 衝撃センサー | ¥8.0 | 75% |
ある電子部品メーカー様では、これらの対策導入後2年間でクレームがゼロになりました。
結論
傷のない高品質な加工部品は、適切な工具管理と徹底した保護対策から生まれます。小さな投資が大きな品質差を生み出します。


