アルミ加工は軽くて強い部品が必要な場面で欠かせない工程です。しかし、適切な知識がなければ、不具合やコスト増につながります。
アルミ加工とは、軽量で高い加工性を持つアルミニウム合金を使って、効率的に高精度部品を作る技術です。

今回は、アルミニウムの特性から始まり、合金の種類、切削加工時の注意点まで、製造現場の実例を交えながら解説していきます。
アルミニウムの特徴とは?
アルミ素材は見た目がシンプルでも、使いこなすには理解が必要です。
アルミニウムは軽く、耐食性に優れ、熱伝導性も高い素材です。加工性が良く、多くの産業で使用されています。

軽さと強度のバランス
- 比重は鉄の約1/3と非常に軽量
- 一方で合金化により必要な強度を確保可能
熱・電気伝導性
| 項目 | アルミニウム | 鉄 |
|---|---|---|
| 熱伝導率(W/m・K) | 約235 | 約80 |
| 電気伝導率(%IACS) | 約60 | 約17 |
このように、熱放散が必要な製品(ヒートシンク等)では欠かせません。
アルミニウムとアルミニウム合金の違いとは?
「純アルミ」と「アルミ合金」、実際の加工でよく混同されがちです。
純アルミは柔らかく、強度が低いのに対し、アルミ合金は用途に応じて強度・加工性などが調整された実用的な素材です。

純アルミ(JIS A1000系)
- 展延性・耐食性が高いが、強度は不足
- 溶接性は優れるが、機械加工には不向き
アルミ合金(2000~7000系)
| 系列 | 主な合金元素 | 特徴 |
|---|---|---|
| 2000系 | 銅 | 高強度だが耐食性が低い |
| 5000系 | マグネシウム | 耐食性良好、強度中程度 |
| 6000系 | Mg+Si | バランスが良く万能型 |
| 7000系 | 亜鉛 | 非常に高強度、航空機にも使用 |
アルミ合金の種類と特性とは?
適切な合金選定が品質とコストに直結します。
アルミ合金は用途別に最適な系統があり、切削性・耐食性・強度などが大きく異なります。

合金別の特性比較表
| 合金名 | 特徴 | 主な用途 |
|---|---|---|
| A5052 | 曲げ・加工しやすい | パネル、板金部品 |
| A6061 | 強度と加工性のバランス | フレーム、構造部品 |
| A7075 | 高強度 | 航空機、金型 |
| ADC12 | ダイカスト向け | 自動車部品、筐体 |
アルミの切削性は?
「アルミは柔らかいから加工しやすい」と思われがちですが、実際は注意点もあります。
アルミの切削性は合金の種類や工具条件によって大きく左右されます。粘性や切粉の問題も無視できません。

切削性に影響する要因
- 合金成分(A6061は良好、A7075は工具摩耗が早い)
- 工具材質・コーティング
- 切削速度・送り速度の適正値
アルミは切削加工がしやすいですか?
素材自体は柔らかく加工はしやすいですが、条件を間違えるとトラブルが発生します。
アルミは切削抵抗が低いため加工しやすいが、切粉の巻き付きやバリなどに注意が必要です。

よくある問題
- 切粉の巻き付き → 表面粗さ悪化
- 工具への溶着 → 加工寸法ズレ
- 切削音が出にくく、異常検知しづらい
アルミの切削速度は?
速度設定を間違えると、加工品質と工具寿命に大きく影響します。
アルミの切削速度は高めに設定されますが、合金種と工具によって調整が必要です。

推奨速度の目安(カーバイド工具)
| 合金 | 切削速度(m/min) |
|---|---|
| A5052 | 200〜400 |
| A6061 | 300〜500 |
| A7075 | 250〜400 |
送り量や切込み深さとのバランスも重要です。
切削速度が遅すぎるとどうなる?
「慎重に遅く加工すればいい」と考えるのは危険です。
切削速度が遅すぎると、切粉の排出不良・工具への溶着・加工時間の増大などが起こります。

過度な低速の問題点
- 溶着による表面不良
- 切粉の処理ができずに絡む
- 工具の早期摩耗や欠損
アルミの切削加工の問題点は?
私たちが実際に現場で経験した問題も含めて解説します。
アルミ切削では、寸法精度よりも表面状態や切粉処理の方が問題になることが多いです。

主なトラブル事例
- バリの多発 → 追加の面取りが必要
- 工具摩耗の早期化
- 形状崩れ(特に薄肉構造)
アルミA5052の切削性は?
A5052は人気の高い合金のひとつです。
A5052は柔軟性が高く、比較的切削しやすいアルミ合金です。ただし、切粉の巻き付きには注意が必要です。

加工のコツ
- 鋭角な工具を使用
- 切粉の排出を意識した刃型設計
- クーラントを適切に供給すること
ADC12の切削性は?
ダイカスト部品で多用されるADC12の扱い方も知っておくべきです。
ADC12は硬度が高く、切削には適していません。バリが出やすく、工具摩耗も早いため注意が必要です。

切削時の対策
- 刃物の選定を慎重に
- 加工速度は控えめに設定
- バリ除去工程を別途設ける必要あり
アルミ加工を選定する上での注意点は?
加工精度だけを見て合金を選ぶと、コストや納期で後悔することがあります。
最終製品の用途・強度・表面状態などを総合的に判断して、合金選定と加工条件を決めることが重要です。

アルミ加工上の注意点は?
加工そのものにも注意点が多数あります。
アルミは熱伝導性が高いため、加工中に熱歪みや精度不良が発生しやすいです。

アルミとステンレスの切りやすさは?
素材選定に迷ったとき、比較対象になるのがステンレスです。
一般的に、アルミはステンレスよりも切削しやすいですが、目的によってはステンレスの方が適している場合もあります。

| 項目 | アルミ | ステンレス |
|---|---|---|
| 切削性 | ◎ | △ |
| 工具寿命 | 長い | 短い |
| 加工精度 | 出しやすい | 難しいが安定することも |
まとめ
アルミ加工は、軽量で扱いやすい素材という印象がある一方で、実際には切削条件や工具選定、表面仕上げなど多くの注意点が伴う奥深い工程です。その特性を最大限に活かすためには、材質理解と適切な加工ノウハウが不可欠です。
弊社では、アルミ合金の切削加工に豊富な実績を持ち、最新のCNC設備と経験豊富な技術チームにより、安定した寸法精度と美しい仕上がりを実現しています。アルミ加工でお困りの際は、ぜひお気軽にご相談ください。


